白内障の日帰り手術を行えます

白内障の手術に関しては、必ずしも入院が必要なわけではありません。比較的に年齢が若く、ある程度の体力があり、白内障以外に特段の病気がない方は日帰り手術が可能です。また入院することによって認知症が進行する可能性がある方、入院先の慣れない環境下では体調を崩す懸念のある方に関しても、日帰り手術を選択することがあります。
日帰り白内障手術の適応
基本的には、下表の要件を満たす方が白内障の日帰り手術の適応となります(実際の判断は、担当医が問診・検査をしたうえで判断いたします)。なお、白内障の手術には、超音波乳化吸引術や水晶体嚢外摘出術などの方法がありますが、最もよく行われているのは超音波乳化吸引術です。同術では局所麻酔を行ったうえで、前嚢を切開し、白濁した水晶体に向けて超音波を振動させます。これによって水晶体の核や皮質を砕いてシャーベット状にしてから吸引除去します。その後、取り除いた水晶体の代わりに眼内レンズを挿入します。
手術時間は白内障の程度により長くなることもありますが、通常は5〜10分程度です。
- 内科的に大きな問題が見られず、手術を受けても体に影響のない方
- 通院が可能な方(術後の経過を観察するため、定期的に通院していただきます)
- 角膜混濁や重度の緑内障、糖尿病網膜症など、目に重い合併症が無い方
- 術中・術後の諸注意をきちんと守れる方
白内障手術の流れ
手術前
- 診察を受けて、白内障手術が必要と診断され、当院での手術を希望される方は、まず手術の予約をしていただきます
- 次に「術前精密検査」を受けていただきます。これは手術予定の1週間前までに行います
- 手術前週にご来院いただき、必要な目薬の点眼や飲み薬の服薬の説明をさせていただきます。その後は指示通りに点眼、服薬をしてください
手術当日
- 指示した時間にご来院ください
- 食事の制限はありませんが昼食は早めに済ませておいてください
- お化粧はしないでください
- 着替えのしやすい服でお越しください
- 車、バイク、自転車での来院はできません
手術の手順
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まず点眼麻酔をします。少ししみる程度で、痛みはほとんどありません
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角膜の脇を2㎜ほど切開します。そこから手術器具を入れ、水晶体の前面を覆っている前嚢を円形にくりぬきます
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超音波装置を用い、濁った水晶体の中身を細かく砕きながら、核と皮質を全て吸引します
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中身の取り除かれた水晶体嚢の中に、小さく折り畳んだ眼内レンズを挿入します
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切開創を閉鎖させ手術は終了です
手術の後
- 手術終了後は院内でしばらく休息していただき、保護眼帯をしてお帰りいただきます
- 入浴、洗髪、洗顔はできません
- 飲酒、喫煙は控えてください
- 保護眼帯は翌日の診察まで外せません
眼内レンズの種類
水晶体の代わりに挿入する眼内レンズには、主に単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズがあります。このうち単焦点眼内レンズは、焦点が1点にのみ合うレンズであり、保険が適用されます。当院では、患者さまともご相談し、焦点の位置を遠方、中間視、近方のいずれかに決定します。焦点の合う距離が1点なので、それ以外の距離の物を見るときは、近用や遠用の眼鏡が必要となります。
これに対し、多焦点眼内レンズは、遠方と近方など、複数の距離に焦点が合うレンズです。手術後に眼鏡を使用しなくてもよいというメリットがあります。近年では多焦点眼内レンズの中でも、中間距離重視や近距離重視など、患者さまのライフスタイルに合わせた、様々な種類のものが出てきています。こちらの眼内レンズの場合、通常は保険診療と選定療養の併用となるので、患者さまの負担は重くなります。
手術費用
単焦点眼内レンズの白内障手術費用の目安(片眼)
単焦点眼内レンズを使用する白内障手術の費用目安は以下の通りです。
負担割合 | 費用 |
---|---|
1割負担 | 約20,000円 |
2割負担 | 約40,000円 |
3割負担 | 約60,000円 |
多焦点眼内レンズを使用する白内障手術の選定療養費用(片眼)
多焦点眼内レンズを使用する白内障手術を受ける場合、当院では選定療養の費用として、上記の白内障手術費用とは別に以下の金額をご負担いただきます。
多焦点眼内レンズの種類 | 費用 |
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パンオプティクス | 300,000円 |
パンオプティクス 乱視用 | 350,000円 |
クラレオン ビビティー | 300,000円 |
テクニス オデッセイ | 310,000円 |
テクニス オデッセイ 乱視用 | 360,000円 |
多焦点眼内レンズを使用する白内障手術の費用
白内障手術の費用(医療保険で給付)+多焦点眼内レンズに係る費用(選定療養費・全額自己負担)
選定療養とは
選定療養とは、患者さまご自身が選択して受ける追加的な医療サービスで、その分の費用は全額自己負担となります。令和2年4月より、術後の眼鏡装用率の軽減を目的とした多焦点眼内レンズを使用する白内障手術は、厚生労働省が定める選定療養の対象となりました。
当院は多焦点眼内レンズの白内障手術を行う医療機関として届出をしています。多焦点眼内レンズの対象となる患者さまには診察時に詳細をご説明致します。